先日演奏会で聴いた、”スペインのフォリア”は、最近、国内版が出版されました。
ありがたいことです、と紹介するつもりでしたが、いろいろなことになっていました。
ラ・フォリア
コレッリ&マレ
有田正広 編 有田千代子 通奏低音実施
音楽之友社 ¥3,200(税別)
まず、フォリアの歴史について・・・(難しくなりそうですみません)
15世紀にポルトガルで生まれたであろう”騒々しい踊り”フォリア。
これが、17世紀にスペインで流行し、イタリアにも渡って数多くのフォリアが作曲されました。
マラン・マレ(1656-1728)はフランスの作曲家。
イタリアから持ち込まれたフォリアをいろいろな楽器のために作曲しました。
・・・という訳で”スペインのフォリア”。
フォリアとは、定型のバスの上に変奏曲が繰り返していく形の舞曲のことで、
ニ短調で作曲されるのが常のようです。
ここからが本題です。
音友版の”スペインのフォリア”はなんとト短調(g-moll)
テーマと32の変奏となっています。
”現代のフルートで演奏するための編曲・・・調性はニ短調より4度高いト短調を選び
現代のフルートの最高音域まで使っている” (有田正広 解説より)
はいはい、なるほど。それでト短調ですね。
あれ???
無伴奏では、ホ短調(e-moll)が演奏されていました。
これがその楽譜です。
マレ/スペインのフォリア
ベーレンライター版 BA3311 ¥1,600(税別)
フルーティスト、ハンス=ペーター シュミッツが無伴奏フルート用に編曲したもので、
大変良く演奏されています。ホ短調。
こちらはテーマと24変奏。最後にテーマがまた戻るという形になっています。
通奏低音付での演奏も良く耳にします。
(こちらは在庫がないため楽譜は紹介できませんが・・・)
ちなみに、ホリガーのオーボエ+通奏低音版では、ニ短調にて演奏されていました。
楽譜をご購入の際にはお気を付けて。
・・・以上、”スペインのフォリア”の旅でした。